2008年10月23日木曜日

怒りの日

ラフマニノフは”怒りの日”の旋律を好んで用いたとされる。

怒りの日(いかりのひ、Dies irae)とは終末思想の一つで、キリスト教において世界の終末、神あるいはキリストが過去を含めた全ての人間を地上に復活させ、その生前の行いを審判し、神の主催する天国に住まわせ永遠の命を授ける者と地獄で永劫の責め苦を加えられる者に選別するとの教義、思想。または、それが行われる日。その様子については新約最後の書、幻視者ヨハネによる『ヨハネの黙示録』(アポカリプス)に詳述されている。

同様の思想はゾロアスター教をはじめユダヤ教・イスラム教等にも見られ一神教的世界観から二神教、一神教的世界観へと変遷していく中で唯一神の絶対正当性を保証するために考え出された物ではないかと思われる。

グレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律は、修道士セラノのトーマス(1250年没)によって選定され、レクイエムの怒りの日で歌われていた。しかし、ベルリオーズの「幻想交響曲」の第5楽章、リストの「死の舞踏」(Totentanz)に引用されてから「死」をあらわすものとしてクラシック音楽の作曲家によってしばしば引用されるようになった。マーラーの交響曲 第2番 "復活"、ラフマニノフの「交響曲第1番」「パガニーニの主題による狂詩曲」「交響的舞曲」「鐘」「晩祷」、イザイの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番」などが怒りの日の旋律を用いた音楽の例として挙げられる。

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