2009年6月28日日曜日

ラフマニノフの評価

ラフマニノフの甘美でロマンティックな叙情を湛えた作品の数々は一般的な聴衆からは熱狂的に支持された一方で、批評家や一部の演奏家からはその前衛に背を向けた作風を保守的で没個性的と見なされ、酷評されることが多かった。

すでにロシアに在住していた頃からラフマニノフはヴャチェスラフ・カラトィギンやレオニード・サバネエフといった批評家からの徹底した非難の対象だった。この傾向は作曲家の没後も続き、例えば『グローヴ音楽辞典』の1954年版は彼の音楽を「単調なテクスチュア」「つくりものめいた大げさな旋律」と一蹴し、「彼の存命中にいくつかの作品が享受した圧倒的な人気は長くは続かないだろうし、音楽家によって支持されたことはかつてなかった」と述べた。

ハロルド・C・ショーンバーグはこうした風潮を非道なまでのスノビズムだとして批判し、「作曲家に関して重要なのは、いかに個性を発揮したか、いかによく自己を表現したか、着想がどれほど強固か、であり、これらの点でラフマニノフは大半の作曲家よりも優れている」と主張した。

デリック・クックが「演奏家や聴衆からの熱狂的な支持ゆえに、プッチーニとラフマニノフは否定的な評論の集中砲火にも関わらず我々の音楽体験の中に生き続けている」と述べたように、『グローヴ音楽辞典』1954年版の予言は現実のものとならなかった。

『ニュー・グローヴ音楽大辞典』の1980年版においては、彼の音楽の特性は「顕著な叙情性、表現の幅広さ、構成における独創性、オーケストラの豊かで特徴的な色彩のパレット」と記述された。

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