2009年6月28日日曜日

ラフマニノフのピアノ演奏

ラフマニノフはピアノ演奏史上有数のヴィルトゥオーソであり、作曲とピアノ演奏の両面で大きな成功を収めた音楽家としてフランツ・リストと並び称される存在である。彼は身長2メートルに達する体躯と巨大な手の持ち主で、12度の音程を左手で押さえることができたと言われている(小指でドの音を押しながら、親指で1オクターブ半上のソの音を鳴らすことができた)。

また指の関節も異常なほど柔軟であり、右手の人指し指、中指、薬指でドミソを押さえ、小指で1オクターブ上のドを押さえ、さらに余った親指をその下に潜らせてミの音を鳴らせたという。恵まれたこの手は、マルファン症候群によるものとする説もある。

ロンドンで彼のピアノ演奏に度々接した音楽評論家の野村光一によると「彼のオクターヴは普通の人が6度を弾くときぐらいの格好」になったという。野村はラフマニノフの鳴らす和音を「まったく理想的に男性的な音」だったとし、「それにもかかわらず、音楽はロマンティックな情緒に富んでいましたから、彼が自作を弾いているところは、イタリアのベルカントな歌手が纏綿たるカンタービレの旋律を歌っているような情調になりました」と述べた。

アメリカの音楽評論家、ウィリアム・ジェイムズ・ヘンダーソンはラフマニノフによるショパンのピアノソナタ第2番の演奏を聴いた時の感想を、「われわれはラフマニノフと同じ時代に生き、彼の神々しいまでの天賦の才能がこの名作を再創造するのを聴くことができるという運命のめぐり合わせに、ただただ感謝するほかはない」と記している。

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